2024-01-01から1年間の記事一覧
ENGLISH 本シリーズで述べてきましたことを踏まえますと、具体的には、どのような生き方が望ましいのでしょうか。 以下に、要点をまとめてみました。 1. 仏陀の教えを信奉する者として、生きとし生けるものの幸福に貢献し、全ての生きとし生けるものに、決し…
ENGLISH 前の章の応用編8では、宮沢賢治が、仏陀の教えの真髄を深く理解していると考える理由について、簡単に触れました。 さらに、応用編3では、仏になるためには、なぜ菩薩の道を修行する必要があるのか、なぜそれがとてつもなく長い期間を必要とするのか…
ENGLISH 前回、波の譬えをご紹介致しましたが、この例えは、話を分かり易くする為のものでしたが、仏教的には大きな誤解を招きかねない要素を含んでいました。内容をもう一度振り返って見ましょう。海の中の一つの「波」が、自らを波である、と自覚するよう…
ENGLISH 六波羅蜜は、大乗仏教の菩薩が成就すべき修行のテーマであると言えます。 六波羅蜜の「波羅蜜」という言葉は、サンスクリット語(古代インドの言葉)のパーラミターに由来し、完成、完全、彼岸への到達を意味します。では、6つの行いや精神状態の完…
ENGLISH 前回の「空」についての議論では、釈尊の弟子達の一部は、釈尊の教えを整理・分類する過程で、この世界のいくつかの基本的な構成要素には、実体がある、と考えるようになったことを、見てきました。 しかし、そのような実体論は、釈尊の中道と、無我…
ENGLISH では、「空」とは一体どういうことなのか、もう少し詳しく見てみましょう。先ほどの例では、椅子や人間など様々な要素が複雑に絡み合っていました。これらの組み合わせが概念を形成することは理解できますが、それでも根本的な要素そのものは存在す…
ENGLISH これまで、初期仏教以来の釈尊の教えを中心に述べてきましたが、大乗仏教の隆盛にともない、特に般若経典類の中で「空」という言葉が頻繁に使われるようになりました。 「空」とは、基本的にこの世のすべてのものは、原因と条件との関係性においての…
ENGLISH 如来と呼ばれる光そのものに例えられる境地 基礎編8でご説明致しましたように「自分の視点に囚われず、他のどのような特定の視点にも囚われる事の無い、完全な中道の境地に達することができれば、光そのもののように、あらゆる相対的な視点を超えた…
ENGLISH これまで見て来ましたように、阿羅漢の道も菩薩の道も、相当な覚悟と信念が必要で、誰にでも歩める道とは言い難いものでした。 ちょうどその頃、時代が進むにつれ、仏教のみならず世界的な宗教的潮流の中で、人々を救おうという大いなる意図を持つ存…
ENGLISH 先にも述べましたように、阿羅漢の様に、一日も早く涅槃に入るための修行に専念するのは、基本的には自己という妄想を超克するための最も直接的な方法であると言えます。だからこそ、釈尊は最初から弟子たちにそのような方法を教えたのだと思われま…
ENGLISH 阿羅漢-自己への執着を根絶する道 (上座部仏教における修行の目標) 前回の基礎編で説明しましたように、釈尊は5人の旧友に、自己への妄執を超克する方法として、中道、四諦、八正道を説きました。その方法とは、「自分」という概念が根本的に、固有…
ENGLISH 基礎編では、釈尊が説かれた基本的な教えを概観しました。ここからは、釈尊の基本的な教えが、その後どのように受け止められ、実践されてきたかを探っていきたいと思います。 基礎編の最後に説明しましたように、無知に囚われ、中道を知らない者は、…
ENGLISH まず、なぜ「諸行無常」と言うのでしょうか。言葉を厳密に検証すると、諸行の「行」の原語は古代インドのサンスクリット語のsaṃskāraであり、その、元の意味は、「形成作用」というような意味です。 仏教では、十二因縁の「無明」 (根源的無知) の次…
ENGLISH 中道 釈尊はまずは、悟りに不可欠な要素を、共に修行した仲間たちに伝えました。 当時は、肉体に極限の苦行を課すことで精神を研ぎ澄ます禁欲主義が主流でしたが、かつて苦行の修行を共にしていた5人の仲間達にはこう説きました。 "人は肉体を苦し…
ENGLISH 先の基礎編4での波という比喩に示されるように、釈尊は、存在の本来の姿 (究極の相互連関性と一体性)に対する無知が、分化と分離の生成力を生むことを認識しました。 これが、妄想としての自己とそれに対立する無数の存在という虚構を生み出すこと…
ENGLISH これまで探求してきた、自己、という概念は、仏教で言うところの「根源的無知」、すなわち全ての存在は、本来無限に相互に連関しているという、万物の究極的な相互関連性と、一体性に気づいていないことから生じます。この無知は、十二の明確な段階…
ENGLISH では、釈尊の悟りの本質は何だったのでしょうか。 釈尊は、自分の心を丹念に吟味することから始めました。 私は何者か。私の本性とは何か。 自己を定義するものは何か。 長い思索の末、彼は深い悟りに到達しました。 そして、存在するのは「自己」と…
ENGLISH 前述したように、釈尊は、自らの内なる世界を深く掘り下げ、最終的に存在の根源的な本質についての、深い洞察を得たのです。仏教の考え方の中核的大前提は、外界に存在するように知覚される広大な宇宙も、実は私たちの内なる世界の反映であるという…
ENGLISH 仏教はその名が示すように、釈尊の教えが中核となる思想体系です。したがって、仏教を知るには、先ずは釈尊について知る必要があります。 仏教を広めた人物は釈迦牟尼仏として知られており、約2500年前、現在のインドとネパールの国境付近の地域で、…
ENGLISH このシリーズは、仏教の考え方を知りたいと思っている人々のために、仏教の本質を解明することを目的としています。しかし、従来の仏教入門書とは一線を画し、初心者が戸惑うような専門用語を多用した説明は避けています。 多くの仏教入門書は、充分…
ENGLISH 仏教は、一般的に、少し難解でよく分からない東洋の一宗教であると見なされていて、その本当の趣旨と考え方もあまり知られていないように思われます。 その難解さは、宗派間の多様性と、様々な修行方法の違いにも起因していて、それらに通底する仏教…
ENGLISH 仏教は謎めいていて、理解するのが非常に難しく、多くの点で理解不能だと考えられてきました。しかし、科学の進歩により、その謎の多くが解明されつつあります。 最新の科学が、量子や宇宙の謎を解き明かすたびに、2,500年にわたって説かれてきた仏…